37.デバスズメダイ

■ここのところ潜りたおしています。倒す、とは少々物騒ですが、本当に倒れそうになるぐらい毎日潜っています。好きな仕事ですから、全くもう平気で、この辺りの「とことん疲れて、尚楽しい」という感覚はクロスカントリーラリーの日々に似たものがあります。
ということで、更新の間隔が開いてしまいましたが、デバスズメダイの話を、海の底からお伝えします。
体長2〜3センチのコバルトブルーに綺麗な奴が、この魚。いつも群れています。人間や大きな生物が近づくとミドリイシ(サンゴ)の枝陰に隠れてしまう警戒心の強い魚ですが、息を殺して待っていると写真のようにふんわりと浮き上がってきます。そして、再びこちらの気配を感じると、一斉にサッと隠れてしまいます。こういった小さな魚の群れは、群れそのもがまるで一つの個体のように動くのがとても興味深いのですが、そこで意志の統一を計っているのは、光・音・フェロモンなどの波動信号だろうと考えられていますが、いずれにしても水という物質の中においてそれが瞬時に伝達されるということが面白いのです。
例えば、僕達の体を構成している細胞一個一個にしても、そこで信号系の伝達は電気信号によって行われていて、その信号を受けて受容体から酵素が出たり、特定のたんぱく質が変性したり、といったように条件に沿ったアクションとして表出されるわけで、そう考えるとき、細胞にしてもその中味は核が水(塩性の体液)に浮かんでいるので、信号を伝える媒体の役割として海水という環境はなかなか優れたものであることに気が付きます。
僕達の体液の成分と海水の成分構成は限りなく近いものがあります。だとすれば、このデバスズメダイの群れは、やはり「群れ」という一個の生き物なのかもしれませんね。 それと同時に、水というものの重要性を考えてしまう。それが質的(化学的・物理的)に安定していなければ、どんな信号にしても正確に伝わらないだろうから。正確に伝わらなければ、各細胞のコントロールは不可能なことは言うまでもないが、歪んだ信号は誤った情報として伝達されることになり、それに反応した体は・・・。そう考えると恐ろしくなってしまうのです。

サンゴは産卵直前の様子。その林の中に逃げ込むデバスズメダイ。















[黒島/沖縄・渡嘉敷島]
水深7メーター/水温28度/気温32度
2003年7月15日


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